審査委員長
しりあがり寿先生
【総評】今年もたくさんのご応募ありがとうございました。昨年に増してレベルが高くなり、選ぶのが難しかったです。自分は最終選考作品の半分くらいに高評価をつけてしまいました。今回は「スポーツ」がテーマでしたが、直接スポーツをしているマンガだけではなく、それに囚われずにいろいろな角度からテーマを考えてくれていて、本当にバライティがあって楽しかったです。
一般部門大賞 『ぼう高とび』アベケン
シンプルなアイデアがとても面白いのと、色、形、構図と、画面から躍動感が伝わってきて、マンガ全体がスポーツしているような?テーマにぴったりのよい作品でした。
ジュニア部門大賞 『時空サッカー』すずのすけ
これはなんと時空がつながっているゴールにむけて、信長、犬、スフィンクスが、いろいろなキックしていて、こんなことよく考えたなという豊かな想像力、それをみごとにきれいで楽しい絵にしてくれています。現実にはないことをこんなことがあったらどんなに楽しいだろうと思わせてくれる漫画の魅力が凝縮されているような作品として選びました。
一般部門 『雲のかけっこ』平塚こたつ
これは体の不自由な方から観たスポーツをテーマにしています。何かアイデアを考えるときに外側から、別の広い視点でみるということは本当に大切だと思っておりまして、今回はみんなと同じようにスポーツができない立場からのスポーツの見え方があるんだ、こういうふうな思いがあるのか、という気づきをいただきました。
ジュニア部門 『こげパンの永遠ダイエット』ハル
一生懸命運動して、お腹がすいて食べて、またダイエットするというようなシンプルで、皆さんも身に覚えのあるアイデアだと思いますが、何といっても面白いのは四コマ目に「さいしょにもどる」と書いてあるところです。スポーツしてはおなかがすいて食べてしまって、またスポーツしてダイエットしなくてはいけない。それが永遠にループする仕組みになっています。読者が身に覚えのあるテーマが風刺とも言える笑いの視点からループという技術で小学生によって描かれていたことが驚きだし、観ていて本当に楽しかったです。
中野晴行審査員
ジュニア部門 『負けないぞー!!』ふっくん
去年に比べるとちょっと普通の漫画になったのかな。3年生になってちょっと分別がついてしまったかもしれない。ジュニア部門なので弾けた感じがほしいです。来年また頑張ってください。
一般部門 『スポーツ三昧』前田ポケット
本当に毎回ちょっと何かが惜しいってところがあって、もう一踏ん張り。ちょっと手慣れすぎてるのかもしれない。絵柄を指定のキャラクターを使ったりしなくても、前田さんはうまいので、自分が面白いと思うものを出してくれたらいいのに。来年も良い作品を送ってください。
一般部門 『徒競走?』エモマッペン
吉本新喜劇を空気のように吸いながら生きてきた人間にはおもしろいです。ただし、逆にこの吉本のボケが理解できない人がいるということも理解してほしいです。面白いけれども、吉本のボケを知らないと、最後の「どんっ!」、「ズコーッ」って分からないかもしれない。「ずっこけ大会」をもっと大きく見せるなどの工夫が欲しいです。来年もまたちょっと関西風の笑いを持ち込んでもらえると嬉しいです。
山内康裕審査員
ジュニア部門 『うちゅうじんとあそべた!』へんみりん
サッカーを題材にしながら、宇宙人も出てきて、ちょっとあれっと思わせながらも、最後は宇宙人が人間ってすごいな、人間怖くないかもと思うシーン、これの背景にあるのはへんみ りんさんの宇宙人も含めた、スポーツによる「世界平和」への思いかなと思いました。優しい気持ちになるとてもいい作品だと思います。
一般部門 『負けられない戦い』月島ももか
短距離競争で2人が競いながら、ゴールを切るのはもう1人になるのですが、最後のコマの構図が面白いと思いました。競走しているうちに周りが見えなくなりゴールと違うところに行ってしまった2人、ちゃんと正確に走り最後尾からゴールを切った人、それを最後に引きの構図で全部見せるというところが、いろいろな人生、いろいろなやり方がある、多様なあり方を許容している気がして印象深かったです。
野々部利弘審査員
ジュニア部門 『ナイスショット』のよりん
可愛らしく明るい綺麗な4コママンガです。ゴルフの好きな方が身近におられるのでしょうか? そんな日常も感じられて温かさも感じます。ロストボールが、奇想天外なアイディアとして展開したことは、大人にはないダイナミックな感性に固定観念を崩されました。富士山頂上まで飛ぶ大きなゴルフボールには、宇宙パワーが感じられます(笑)
ジュニア部門 『走りはばとび』ちゃーぺん丸
「トキワ選手」という気遣いもありがとうございます。頼もしい絵で実況風の構成もオシャレだなとも感じました。おいもパワーという「エコ感」が現代的な発想で新鮮です。運動は、一番になりたいですよね。そんな自然な想いを「素直」に表現されたところも素敵でした。これからたくさんスポーツや勉強をして、大きなパワーを身につけてくださいね。
一般部門 『背中合わせの二人だけど』木野田博彦
スポーツという課題から、このようなシビアな内容になることは予想もしていませんでした。絵もしっかり表現されているし、重いダークな色合いから、明るいハッピーな4コマ目の色合いにはホッとします。単純に笑えるストリーは、4コママンガの醍醐味でもありますが、この作品から「人生」を考え、感じられる方もいるのかもしれませんね。
一般部門 『才能』さく
日常の高校生が悩むことを題材にされて、最後の落ち着いたチャーミングな可愛い女子の顔にホッとすると同時に「努力」という作者の思うところの確信的なポリシーが感じられました。才能とは、隠れた努力の上に開花するものだと思うし、そんな日常の一つ一つの積み重ねの継続をして、マンガもこれからの時間も素敵に過ごされて頑張ってくださいね。
一乃瀬光太郎審査員
ジュニア部門 『しんきろく!?』ゆーちゃん
最初に「しんきろく」としっかりと印象付け、全く想像のつかないオチがある、真っ直ぐな4コママンガ。やさしいパパへの思いをスポーツで描いた点も、きちんと伝わると思います。
ジュニア部門 『ぼくが行司』るいるい
画面内の動くものを中心にしっかり話が進んでいるのに対して静のぼくがユーモラスで上手だなと感じました。土俵を作るぼく、など動く関係も加わると、よりスポーツを感じる作品になれたかも。
一般部門 『競争』中山新一
シンプルな画面構成でリズミカルなコント。表情感あるキャラクターがマッチして明暗どちらともとれる笑いが感じられる良い作品だと思います。もう少しアングルに工夫できるという話も。
一般部門 『万年2位』七転なおき
表彰台の一番上を見てしまいつつの獲得数、七転さんのワナにひっかかってみるとメラメラと青い炎を感じられるなど、色もまとまっていて話が入りやすく良い作品だと感じます。